革新と伝統の見事な共存
サン・テミリオン – ポムロール – フロンサック地区のブドウ畑は、それぞれ独自の伝統と先祖代々から受け継がれた専門知識・技術を誇っています。一方で、技術面でも、醸造の面でも、ワインの骨組みに関しても、積極的に新機軸を取り入れています。
歴史豊かな地区
ローマ帝国による植民地化、その後の修道会による開墾と、古代から西暦数世紀にかけてサン・テミリオンは大いに栄えていました。12世紀にフランスの南西部がイギリスの統治下になると、早くからその名声は世界にとどろくようになりました。外国との密接な貿易関係が築かれ、その後のさまざまな戦争でも揺らぐことはありませんでした。
18世紀に盛んとなった啓蒙運動の結果、新世代の作り手による高品質な「クリュ」が誕生しました。19世紀の終わりには害虫フィロキセラによってブドウ畑が壊滅状態となりましたが、その一方で生産者の間に強い連帯感が生まれました。
こうして最初のワイン組合が誕生し、1955年には細かな格付けが行われました。そして現在、こうした先進性と企業家精神はこれまでになく高まっています。
常に大胆に
醸造から市場取引まで、ワイン造りのあらゆる側面に関して熱心な研究が行われています。
それぞれのワイナリーでは、マイクロ・オキシジェネーション、花粉センサー、重力を利用してブドウを移動させる方法など、さまざまなツールが考案され、テストされ、開発されています。
近年の新たな挑戦は環境への配慮です。環境にできるだけ負荷を与えないよう、農薬等を使わないブドウ栽培や、エネルギーと水の使用量を抑える取り組みが積極的に行われています。
ワイン造りに関わる専門家たちが、日々進歩を続けるこうした知識を有し、それを学生や一般の人びとへと伝えていることからも、この地区のワイン造りはこれからも末永く続くことは確かです。
サン・テミリオン – ポムロール – フロンサック地区のワイン生産者はみな、小規模な家族経営です。ワイナリーでは、最新技術の設備が伝統的な熟成用の樽と並んでいます。これまでにも増して、過去からの遺産とイノベーションとのバランスが、この「テロワール」の住民たちの心の奥深くに根を下ろしています。